【手記】「みんな、人ごとじゃないんだよ」 ~湊厚子さんが、いま想うこと~

「あなた達の選択は、きっと数年先に答えが出るよ」
「みんな、人ごとじゃないんだよ」
~湊厚子さんが、いま想うこと~

3.11以降、様々な形で避難者に寄り添って下さっている、湊厚子さん。
チーム☆OKのメンバーには「あーちゃん」と呼ばれ、「札幌の姉さん」として慕われています♪

左側が湊厚子さん。親子のように仲良し、まり子先生(右)と

左側が湊厚子さん。親子のように仲良し、まり子先生(右)と、憩の会でのひとコマ♪



厚子さんは、野草茶房逢ほう主宰・自然食自然療法研究家であり、また、被災者支援団体「あったかい道」を立ち上げた息子さん、湊源道さんのお母様でもります。

3年数か月が経過して、いま想うことを語ってくださいました。

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息子を通して知り合った沢山の避難して来た方達、その家庭毎の悩みや苦しみがある。
この3年数か月、その方たちがどれほどの苦しみを抱えて暮らしてきたかは、当事者ではない私には想像すらできない。
ただ、傍で聞いて一緒に涙することしか出来なかった。

避難してすぐの時、「ようこそあったかい道」を立ち上げた息子の「母さんを炊事隊長に命ずる」の一言で、普通の平凡な母さんでも、やれば出来ることを学んだ。

無我夢中で仲間と作った石狩鍋200人分、小さな蓬ほうの台所では調理出来ず、外にガスを持ち込んで作ったあれこれ。
それを「ああ、あったかい!」と泣きながら食べてくれた避難して来た方達を、我々もまた、泣きながらよそった。

あれから、時がたち、其々が少しは落ち着いた生活を送れてはいるけど、悩みや苦しみはちっとも解決されない人の何と多いことか。
時間がたって、当事者ではない人々は、何事も無かったかのように、忘れ去っている。

そして、東京から避難してきた人達が沢山いることも知らない。
その話をすると一様に「何で東京?」と怪訝な顔をする。
ああ、やっぱり、もっともっと発信しなければとその都度思う。

いわきから真っ先に避難してきた家族6人は、東京行きの電車の中で「福島の人は電車に乗らないでほしいよね」と、あからさまな嫌味の言葉に傷つき、ホテルでは「福島から」と言っただけで断わられ、ようやく辿り着いた札幌のアパートには、何も無く家族6人暖房もない部屋で茫然としていた。

それを知ってしまった息子の動きは早く「ようこそあったかい道」がすぐさま起動しだした。
でも、それさえ知らない人達が大勢いるのも事実、今も尚、様々な事で前に進めない人達がいることさえ、知らない人が大勢いる。

先日、兄夫婦が東北のプレハブの仮設住宅を訪れたそうだけど「我が家の物置よりも酷い!冬を過ごすなんて考えられないようなプレハブに3年以上も暮らすなんて、酷過ぎる!」と怒っていた。

鼻血など誰もだしてはいない、ってどこぞの何とか和尚さんが新聞で堂々と反論していたけど、では、ボランティアに行って鼻血を出した学生さんはウソをついたのだろうか。

同郷の方に「逃げるのか?」と言われ避難してきた人達、あなた達の選択は、きっと数年先に答えが出るよ、間違っていなかった、ってきっと思う日がくるよ、って慰めの言葉を言ってみたって、彼らの傷は癒えない。

みんな、人ごとじゃないんだよ。
いつ自分の身に起こるかわからないんだよ。

知らない人を責めてるわけではなく、知らない人が大勢いるこの事実に愕然としている私に何ができるのか。
最近また、それを考えているのです。

(湊厚子・札幌市在住)