『これは食べていますか?』
~支援する、ということを想う~
チーム☆OK、キャプテンの森田です。
最近、とてもうれしいことがあったので聴いて下さい。
ある被災者支援を行うNPOの方から連絡があり、こう聴かれたのです。
「今度開催するイベントで、避難の皆さんをお招きするんですが。
交流会のときに、お菓子やジュースを出すので、教えてください。
〇〇社の✕✕は、食べていますか?」
チーム☆OKの皆さんは、お菓子の放射能にも気を付けている。
今度来る人の中には、同じように考えている人もいるだろう。
交流会でお菓子が出してあったら、大人は自分で選べるだろうけど、子どもは見えれば食べたがる・・・
だから、出そうとしているお菓子がOKかどうか聴きたい、とのこと。
正直にお答えしました。
「〇〇は?」(有名な北海道銘菓)
「だいたいの人が食べると思います。でも一部原料がまずいという情報も聞いたことがあります。」
「✕✕は?」(国内大手お菓子メーカーの品)
「多くの人が食べないと思います。うちは食べません。でも食べているメンバーもいます。」
「ドリンクの△△は飲まないよね?」(国内大手清涼飲料水メーカーの品)
「そこのは札幌工場の地下水で作っていると判っているので、うちは飲みますよ。でも飲まないお宅も多いかな。」
聴いて下さったのは、年輩の方です。
おそらくご自身が召し上がるときには、放射能のことは気にされないのではないでしょうか。
私たちがどんな基準で選んでいるかは、ほとんどわからないはずです。
ひとしきり聞いた後、
「OK(放射能汚染が少ないと思われる)の基準は、個々人で違うわけですね。
じゃぁそのへんを並べておいて、選んでもらいましょうか」
とおっしゃいました。
完全に「OKなもの」を用意することは、いまの日本では難しいことです。
何をもってOKとするかの基準も、人により違います。
私は電話口で、泣きそうになりながら、こうお伝えしました。
「私たちが何を大事にしているか。
それを気にかけて下さって、本当にありがとうございます。
そのご対応で、十分です。
もしできれば、ひとこと、
『放射能を気にする方には、食べられないモノがあるかもしれません。
私たちはそれを承知しています。
個々人で基準が違うと思うので、どうぞ遠慮なく、ご自身で選んで下さい』
とアナウンスしていただけませんか?
その言葉で、気が楽になる者が多いと思いますので」。
私は、相手には見えないのに、電話を耳にあて、何度も頭を下げました。
「ええ、それくらいは。当たり前ですからね」。
あっさりとそう言うお声に、また頭を下げました。
私には深い感慨がありました。
札幌に避難してきた頃、善意で出される食べ物を、
「放射能汚染があるかもしれないので、いただきません」
とは言えずに、苦しみました。
食べて応援に反する志は、ときに反感を買います。
いただいて、申し訳なさを抱きつつ、そっと処分する・・・
そんなこともありました。
支援者の皆さんに、少しづつ想いを話せるようになり、
チーム☆OKという会を作り、
まっすぐに「放射能防御をしていきます」と表明してきたこと。
きっと、快く思わない方もいるでしょうけれど・・・
そのおかげで、私たちは、こうして素晴らしい方との出会いを得ています。
「どうせわかってもらえないから・・・」
と隠していたら、出会うことがなかった場面です。
そういう「美しい人の姿」に出会えるのは、非難される恐怖を背負ってでも、「自分たちが大事していること」を隠さずに発信してきたから。
大事なことを隠さずに活動することは、苦労もあるけれど、
こういうごほうびもあるんだなぁ・・・と感激した出来事でした。
また、その方からは、「自分と異なる価値感でも、それが相手の価値観なら、尊重しよう」とする姿勢を感じました。
それが「支援」であり「サポート」であり、当然であるという、信念。
恩着せがましさも、一切ありません。
なかなかできるものではない、と頭が下がりました。
私もいつか、自分と異なる立場の方を支援する側になる日が来るかもしれません。
そのときに、この場面を思い出したいものだと思いました。
北海道は、NPOの先進地域だそうです。
避難した先が、このようなNPOの先進地域・北海道でよかったな~!と思った一件でした。
(キャプテン・森田千恵・群馬県から原発避難)