【OKのもと】チーム☆OKが論文に登場!~小内純子先生『北海道・札幌市における避難者支援システムの形成と現段階』~

チーム☆OKが論文に登場!
札幌学院大学学社会情報学部教授・小内純子先生の論文です。
丁寧な聞き取りをもとに、北海道・札幌市における震災避難者支援について考察されています。

小内先生・論文_02

※全文は札幌学院大学のHPで全世界に公開されています!
http://sgulrep.sgu.ac.jp/dspace/bitstream/10742/1955/1/SJ-24-12-057.pdf

北海道における避難者支援の全体像が見える、素晴らしい論文となっています。
ぜひ上記リンクから、全文をお読みください!

その中から、75ページ~76ページ、チーム☆OKについて触れて下さった部分を掲載させていただきます。

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6-3「チーム☆ OK」の活動

(改行、太字は当会が任意で加えました)

最後は「チーム☆ OK」である.「チーム☆OK」は,札幌市近郊に避難している原発避難者の組織で,活動の中心は幼い子どもを持つ母親たちである.やや遅れて 2012年 10月1日に結成され,現在も非常に活発な活動を続けている.

2014年4月現在,メンバーは家族を含め 160人で,それに道民サポーターが 54人が加わって多彩な活動を展開している.会員が多いS団地に活動の基盤があるが,札幌市の他地域にも会員がおり,その人たちを中心に「まちなか版」という活動が広がりつつある.

団体名の OKには,2つの意味が込められています.

ひとつには,「北海道に避難した自分たちを肯定しよう!」の OKである.
自主避難者は,様々な関係を断ち切って北海道に避難してきており,時として「自分の避難は間違っていたのではないだろうか」と自責の念にかられるという.

それに対して,「命と健康を第一に選んだ自分たちを肯定しよう.避難したことを肯定しよう.そこから始めよう」という思いがある.

もう1つの意味は,「北海道でも放射能防御に取り組みます」のOKである.
北海道にいても放射能汚染は深刻な問題であり,今後も前向きに放射能防御に取り組んで行きたい.「初期被曝をしてきた自分たちは,これ以上の被曝をもうしたくない」という強い意志が示されている.

「チーム☆ OK」の HPにある活動記録をみると毎月かなりの数のイベントが行われていることがわかる.
活動が本格化する 2013年1月から 2014年3月までをとると,1ヵ月に平均 10回程度のイベントが行われている.
活動記録には,主な活動として,月2回の定例のお茶会,「いやし場」というサロン,親子で参加できる「あそびば」やハイキング,ヨガ教室や料理講習会,講師を招いての学習会などが並んでいる.

この他に,2013年度には,いくつかの画期的な取り組みが行われた.

1つは,「311・語り場」という取り組みである.

避難者が自らの避難体験を人前で語る試みである.この企画は,「チーム☆ OK」のリーダー(キャプテンと呼ばれる)のGさんが,「震災の記憶が薄れる前に,一人一人に何が起きたのか聞いてみたい」という一言から始まった.避難者自身が被災・避難経験を「安心して語れる」場所をつくりたいという思いがあった.

最初は会員限定で,次第に市民へ門戸を広げ,これまでに 10回の「語り場」が開催されている.毎回,話す方も聞く方も涙・涙という状況になる(注28).

話し手からは,「避難体験を人前で語ることで震災を受け止められた.」「周囲にも理解してもらうことができ,ようやく前向きになれそう」という声が聞かれる.聞き手は,知らなかった事実にただただ驚くばかりであり,彼女/彼らが置かれている現在の状況はいかに理不尽なものであるかを思い知らされる.

毎回 40~50人が参加し,約半分は市民で占められる.この「語り場」の内容は HPにもアップされている.
(当会注:『語り場』http://goo.gl/pakJsM

2つめにあげられるのは 10月 27日に区民ホールを借りて行われた「OK☆キッズの影絵人形劇発表会」である.

知り合ったプロの指導の下で練習を重ね,子どもたちが『世界にひとつだけのシンデレラ』を影絵人形劇で発表したもので,当日は 400人もの観客を集めて大成功を収めている.
このようにみんなで協力して大きなイベントを成し遂げたことは喜びと自信に繫がるという点で大きな意味をもっていると同時に,「チーム☆ OK」が,初めて,「自らが原発避難者である」ことを公にしたという点でも転機となる企画であった.
(当会注:影絵人形劇『世界に一つだけのシンデレラ』http://goo.gl/fJFy2i

これを契機に,外へ向けての情報発信にも取り組むようになり,2013年3月 10日,11日に札幌市地下歩行空間で行われたパネル展「4年目の 3.11」にも参加し,多くの市民への訴えかけを行った.
このように避難者同士が繫がるという活動から,ゆっくりではあるが自己主張する活動にも取り組んむようになってきている.そのために FACEBOOK,ツイッター,HPなどの利用にも力を入れている.

「チーム☆ OK」の活動をみていると,彼女/彼らの抱える状況が「時間が解決してくれる」といった単純なものではないことがよくわかる.
福島原発事故は未だに収束していないなかで強まる帰還圧力,被災地に残っている家族や親族との軋轢,将来を見通せない不安,子育ての悩み,住宅支援打ち切りへの不安,経済的問題などを前にして,常に彼女/彼らの心は揺れ動く.
特にお盆やお正月といった時期になると,心の揺れは大きくなるという.

ある避難者は,「自分たちがなぜ避難して来たのかを常に確認する必要がある.そうしないと心が折れてしまう.」と語っている.気持ちの浮き沈みが常にあるため,「自分の気持ちを確認し,思いを共有できる場」を数多く用意しておくことが必要なのである(注29).

いろんな機会を設けて励まし合い,各自が主体的にイベント企画などに参加することを通じて,少しずつ「生きる力」を回復しようとしているのである.これがイベントが多い理由である.
不安が募った時にいつでも繫がれる場所を用意しているのである.

Gさん(※キャプテン:当会注)は,常々「弱さを自覚する者には,つながれる強さがある」と述べている.
その言葉のなかに「チーム☆ OK」の活動の意義が凝集されていると言える(注30).

以上,「くらし隊」も含め4つの避難者団体の活動についてみてきた.避難者団体の活動が活発な点も,北海道の支援活動の特徴の1つである.見てきたように「みちのく会」が広く避難者を組織することをめざし最大公約数的な活動を展開するのに対して,「チーム☆OK」や「くらし隊」は避難者の立場と目的を明確に掲げて活動している.

このような2つのタイプの避難者団体があることが,避難者の活動の幅を広げている面は大きい.
Gさんは,1600人以上の避難者を組織した「みちのく会」がきちんと機能しているからこそ,「チーム☆ OK」の活動も一般の人たちの理解を得やすいと語っている.

2つのタイプの避難者団体は,敵対する関係ではなく協力する関係にあり,そのことが多様な避難者活動の継続を保障している面が大きい(注31).

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(注28)被災者が精神的克服をしていくために,自分の体験や感情を話すこと(「トーキ ングスルー」),特に同じ経験をした同士が語り合い共感し合うこと,その過程で涙を流すことは,きわめて重要であると言われる(Raphael,1986=1988:148-153)

(注29) この点は,金菱(2014)らが主張する「〝過剰”なコミニティの役割」と同じような機能を果たしていると考えられる.

(注30) Gさんは,「弱さゆえに強くなれる」という事実を「逆転の魔法」と呼んでいる.Gさんは,震災以前の経験を通してこの「逆転の魔法」の力をすでに体得しており,それを「チーム☆OK」の活動にも生かしている.

(注31) 「チーム☆ OK」や「みちくの会」の活動については,塚本(2014)参照のこと.