【手記】「理解してもらえるはずがない」。そう否定しつづけていたのは自分自身だったのです~幼稚園での「出張語り場」を進める、かなえさんの想い~

~「理解してもらえるはずがない」。そう否定しつづけていたのは自分自身だったのです~



チーム☆OKのメンバー、かなえさん(東京都から原発避難)の手記です。
かなえさんは幼稚園に通う二人の子どものママです。

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(かなえさんの息子くんが、札幌の空を眺めているの図)

かなえさんはいま、自分の子が通っている幼稚園で、園に提案し、出張語り場を開催する準備を進めています。
この幼稚園には、数人の避難ママのこどもが通っています。

かなえさんはコーディネーター、語り手は福島県から母子避難しているメンバーが務めます。幼稚園の中で開催する、同じ幼稚園の父母・関係者向けの「出張語り場」です!

メンバーの多くが・・・「ええっ!自分にはできないよ!すごい!!」と驚嘆の声を上げた、この取り組み。キャプテンでさえ、「いや~自分の子が通う園や学校で語り場を作るって・・・私にはまだできない・・・」とのこと。

なぜ、みんながびっくりするような勇気ある一歩を、かなえさんが踏み出したのか・・・・
かなえさんが手記を書いてくれました。どうぞご覧ください!

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このたび、子供たちがお世話になっている幼稚園で、園のお母様向けに語り場を開催することになりました。
きっかけは、一般の学生にむけて堂々と想いを語る、我らがキャプテンの酪農学園大でのスピーチに感銘をうけたことでした。

「自分の命を1番に大切にしてほしい」。

壇上でボロボロと泣きながら語るキャプテンの、率直なメッセージ・・・
二年半モヤモヤと心を陣取っていた何かが、ストンと無くなった瞬間でした。

 

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OK☆日記「7/2 酪農学園大学・礼拝でお話しました」はこちらです

 

避難者として札幌に来たけれど、福島第一原発の事故はまだ終わらず、現在も進行中です。
どんどん状況は悪くなるいっぽうです。

廃炉まで30年以上、核保有の視点では何百年以上の負の遺産と共に生きているわけです。
このことは、マスコミも国も積極的に報道しないため、自分で調べることをしなければ、よくわからない現状に私達は生きています。

私達は、札幌に避難してくるとき、いままで築いてきたすべてを置いてきました。
どれだけ苦しみ悩みぬいても・・・命より大切なものは何ひとつなかったからです。

けれども、 何よりも辛かったのは、信頼している親や兄弟、周りの人々に理解をしてもらなかったこと。

理解を得ようと資料を持っていっても突き返され、「国が大丈夫だと言っているのに、頭がおかしくなったのか?宗教に入信したのか?」と言われ、何をしても何を言っても聞いてさえもらえませんでした。

そんな気持ちを抱え、札幌にきました。

 

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(『311・語り場』より)

 

いつのまにか、人と関わるのが怖くなっていました。

特に毎日関わる幼稚園のママには、失礼のないように、変に思われないように、頭がおかしい親の子どもと思われないように、プライベートなことは一切話さないようにしていました。

2年がたち、仲良くなった幼稚園のママと一緒に畑をすることになりました。
話の流れで「被災地の方たちは、本当に大変な災難だったよね。」と言ってくれました。
私達に寄り添いたい気持ちから言ってくれた言葉でしたが、とても違和感を感じました。

つぎの瞬間、いままでずっと伝えたかった想いが溢れ出し、次から次へと口をついて出てきました。

北海道の避難者のほとんどが、原発事故の避難者であること、母子避難が7割であること。
何を好きこのんで家族が離ればなれで暮らさなければならないのか。
事故は現在も進行中で一年前と変わらずモクモク放射性物質を撒き散らしていること。
これは、被災地のことではなく、日本のいや世界にとっても深刻な事故が継続中であること。
いまの食品の国の基準値の100ベクレル/kgは事故前は、放射性廃棄物としてドラム缶に入れられて管理されていた数値であること。
これからおこるかもしれない健康被害は、誰にもわからない未知数であること。
子どもたちの感受性は、大人の2倍から10倍であること。
ひとによって影響が違うこと。
人類史上はじめての大事故は、チェルノブイリ事故にしか例がないこと。
チェルノブイリでは28年たったいまも、病気に苦しんでいる子供たちが多勢いて、健康な赤ちゃんは2%しかいないのが現実であること。

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(『311・語り場』より)

彼女は、ただただだまって真剣に耳を傾けてきいてくれました。
そして、ひとこと。

「ずっと聞きたかったんだけど、辛いことを思い出させてはいけないと思い、聞けなかった。話してくれてうれしい。本当にありがとう!」

わたしの話なんて、価値のない、ひとには迷惑で耳障りな話。
ずっとずっとそう思い込んでいたことに、はじめて気づかされた瞬間でした。

聞いてもらえない、理解してもらえるはずがない、価値のない、そう否定しつづけていたのは、誰でもない自分自身であったのです。

そして、彼女はこう続けました。
「幼稚園のお母さん達の前で話してくれたらいいのに。聞きたいひと沢山いると思う。」と。

私達がどのような選択をして、いまここにいるのか、園のお母さんが聞きたいと言ってくれました。
そのことを知った友人が、「ひとりでも聞いてくださる方がいるなら、語りたい」と言ってくれました。

自分の子どもだけ守ることなんて、出来ません。
みんなで子供たちを守らなければ、自分の子供さえも守れないと思います。
子供たちの未来は、わたしたち大人の責任です。

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(出張語り場『耳と心をかたむける会』より)

今回の語り場の開催は・・・
幼稚園のママの言葉を聞けなければ、
春子さんの勇気がなければ、
同じ避難者である幼稚園のママたちの理解がなければ、
園の理解がなければ、
チーム☆OKの仲間が肯定し続けてくれなければ、
実現しなかったものです。

私の想いだけではとうてい叶わないものでした。

伝わらないかもしれない。
でも、何もしなかったら永遠に伝わらない。
だから、怖い気持ちを乗り越えようと決めました。
未来を紡ぎたい。
その想いに、一歩挑戦してみようと思います。

かなえ(東京都から一家で原発避難)

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この言葉に、多くのメンバーが涙を流しました。
「そう、私もそうだよ、そうだったよ」と・・・

この幼稚園での語り場は、一般の方にはご参加いただけませんが、
取組みの様子はまたこのOK☆日記でご報告させていただきます!

かなえさんの、その仲間たちの、大きな一歩です!
どうぞ、皆さん、応援してください!!

追記
こうして実現した、幼稚園語り場の記録です
【語り場】幼稚園での「語り場」の記録 ~ママ友たちの前で語った二人の勇気~

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