【手記】『強いられた避難』~ある大学生の卒論発表会の記録~

1/22、酪農学園大において卒業論文発表会がありました。
そこで4年生の柳寛人さんが、『強いられた避難~北海道への原発避難者とチームOKの活動~』と題した卒業論文発表を行いました。

柳さんはチーム☆OKが出来てからの1年余り、道民サポーターとしていつもそばにいて、いや、中に入って、ともに活動してくれた学生さんです。

原発避難者の問題を、自己肯定感というキーワードで鋭く分析してくれた柳さん。
「重要なことは自主避難者の存在を、社会が認めていくことです」と言いきってくれた柳さんの発表を、涙で見つめるメンバーたち。。。

応援に駆け付けたメンバーからは、
「チーム☆OKに、表面的に何度か参加した、という人の発表じゃなくて、共に歩んでくれた人の発表だったね」
「私たちの核の部分を、よく見抜いてくれた発表だった」
と感激の声が上がりました。

以下、柳さんの発表の全文文字おこしです。
柳さん、ありがとうございました!

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みなさんこんにちは。
酪農学園大学の地域環境学科4年の柳寛人です。
僕が卒業論文に選んだテーマは、
『強いられた避難~北海道への原発避難者とチームOKの活動』です。

2012年10月に本学で行われた「おんたの音楽祭」を通して、僕は札幌市近郊への原発避難者団体「チームOK」と出会いました。
このチームOKとの出会いから、北海道への原発避難者を対象とした「虹の会」を立ち上げ、一年以上にわたりチームOKと活動をしてきました。
今回のプレゼンでは、そうした北海道への原発避難者の現状と課題、今後の展望について述べていきます。

北海道庁が発表しているデータによれば、東日本大震災を受けて約2800人の人々が北海道に避難してきており、その半数以上の1500人が札幌市へ避難して来ています。

このグラフは北海道への避難者の1000人以上が所属する、「みちのく会」の会員出身地をまとめたものです。
グラフからまず分かることは、福島県からの避難者が多いということです。
福島県からの避難者は全体の約7割を占めています。
ここから、北海道への避難者の多くが、地震や津波ではなく福島第一原発事故による避難者だと考えられます。
また関東圏からの避難者は179人おり、みちのく会全体の約15%を占めています。

これは福島第一原発事故の影響を表した放射能汚染地図です。
地図で色のついている部分が、年間1ミリシーベルト以上の地域です。
チェルノブイリ原発事故で深刻な汚染をうけたウクライナでは、年間1ミリシーンベルト以上の地域は移住権利ゾーンとなっています。

東北と関東の一部はこの移住権利ゾーンに該当しており、そのため関東から北海道へ多くの人々が避難してきているのです。
このように政府が避難範囲に設定しなかったことで、自ら避難という選択を余儀なくされた人々が、自主避難者と呼ばれています。

自主避難者は多くの問題を抱えています。
その中でも大きな問題は、母子避難の問題、住宅支援の問題、自己肯定の問題です。

北海道への原発避難者の約6割が母子避難といわれ、夫と一緒に避難できていません。

また自主避難者の多くが住む雇用促進住宅では、宮城県・福島県・茨城県・栃木県の4県を除く地域からの避難者について、2014年4月1日以降の家賃の有料化が決定しました。
これは、これまで家賃が無料だった東京や神奈川などから来ている避難者にとって、大きな負担となります。

そして、3つめの問題が自己肯定の問題です。
自主避難者は、政府が認めない地域から避難してきているため、その多くが社会からの批判を受けた経験があります。こうした経験から避難後も後ろめたさを感じ、表舞台に出られない自主避難者が多くいます。

こうした状況下で、自主避難者自らが立ち上げた団体がチームOKです。

チームOKは2012年10月に結成された、札幌市近郊への原発避難者団体であり、100人以上が会員となっています。
このチームOKが行ってきた活動として大きなものが「311・語り場」と「影絵人形劇」です。

「311・語り場」は原発避難者がその避難経験を語る会です。
この「311・語り場」の特徴は、語り手の信頼できる人のみを集めて行うということです。これによって語り手が安心して話せる場ができ、これまで10人以上の避難者がその避難経験を語ってきました。

「311・語り場」の効果はふたつ考えられます。
自主避難者の現状を広く伝えることと、避難者の自己肯定感を高める効果です。

語り場の内容は後日、チームOKのホームページに載せられ、自主避難者の現状が広く伝えられてきました。
また人前で避難経験を話すことで、自主避難に対する肯定感を高めることができたと考えられます。

「影絵人形劇」は、この「311・語り場」の効果が表れたイベントでした。

2013年10月27日に厚別区民ホールで影絵人形劇が行われ、大勢の自主避難者とその子どもたちが舞台で劇を演じました。
人形劇の当日には400人以上の人々が集まり、その様子は後日、新聞で報じられました。

このように多くの人々の前に自主避難者が立つことができたのも、「311語り場」を中心とした、チームOKの活動によって自主避難に対する肯定感が生まれたためだと考えられます。
チームOKキャプテンの森田千恵さんは、人形劇の最後に
「今日から自分たちがチームOKである、原発避難者であることに、自信と誇りを持って行こう」
と力強く語りました。

原発事故から三年目を迎える今、避難先で自立した生活を送って行くことが、大きな課題となっています。
自主避難者が自立していくためには、もちろん住宅支援のような金銭的物的支援が必要です。
しかし、それ以上に重要なことは自主避難者の存在を、社会が認めていくことです。

チームOKの活動のように自主避難者の現状を伝え、地域住民とのつながりを強めることで、自主避難者の存在が社会に認められ、自立へとつながっていくと考えられます。

ご清聴ありがとうございました。

(了)

***写真で見る柳さんの発表***

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